書評『図解&事例で学ぶプレゼンの教科書』 相手を動かすことがプレゼンテーションの目的である
僕は英語でプレゼンテーションをする機会が多いのですが、その中でもプレゼンテーションの基本を教えてくれたのがこの一冊です。基本的に書かれている内容は他の本と似ています。しかし、読みやすさはピカイチです。
プレゼンテーションのいろはが載っている本書は、さくっと読めるので、本番でとんでもないヘマをしてしまわないように準備段階で復習しておきたい一冊です。
こんな人におすすめ
- プレゼンテーションの準備がなんとなくしかわからない
- 読ませるスライドを作成している
- プレゼンテーション中の話し方で意識するポイントがわからない
該当する場合、おそらく悲惨なプレゼンテーションをしているかもしれません。プレゼンテーションが下手だというのは「できないやつ」レッテルを張られてしまいます。特に営業、広報担当者はしっかりとした知識を吸収して、悲惨な事態を回避しましょう。
著者経歴
日本マイクロソフト株式会社、エバンジェリスト、の常務執行役員を務め、オラクルにてエバンじゃリストとして従事された方。日経BP社から「世界を元気にする100人」に選出された「IT伝道師」です。
ポイント
「相手を動かす」ためのプレゼンテーション
プレゼンテーションをする最大の目的は、伝えるだけではなく、相手を動かすことにある。どうやったら相手が動くのかについてブレイクダウンして考えようというのが本書の趣旨です。
「相手が動く」というのは、例えば「新商品を紹介」する場合、最終目標は商品を紹介して伝われば成功ではなく、新商品を買ってもらって成功とするということです。
その最終目標のためのブレイクダウン方法が紹介されています。ホラーストーリーで提案する、プレゼンテーションのタイトルにこだわるなど、すべてが相手を動かすために考えることが重要だと認識させられます。
4つのなぜを解決する合意形成が聞く気にさせる
相手を動かすためには、すべてが本論ではいけないということです。
3:7の割合、3割が合意形成、7割が本題を構成することで、合意形成をさりげなく築くことで相手を聞く気にさせるというのは参考になりました。これはプレゼンテーションだけでなく、交渉事すべてに通ずるものだと思います。
4つの合意形成
- なぜこの話を聞かなければならないのか
- なぜこの話が重要なのか
- なぜ私から聞かなければならないのか
- なぜあなたが聞かなければならないのか
このプロセスを飛ばしてしまうと、独りよがりで、押し売りされた感が残るプレゼンテーションとなってしまう恐れがあります。
ホラーストーリーで考える
ストーリー展開として、典型的には2つの構成方法があります。
サクセスストーリーとホラーストーリーです。
サクセスストーリーは、成功体験をいくつか語ることです。
例えば、
本書を読むことで、プレゼンの基本が身に付き、本番で大成功しました。
この場合、本を読めば知識が着くことはだれでも知っていることですし、成功体験は共感を呼びづらいです。
プレゼンテーションで重要な点は、相手の悩みを解決することです。
ホラーストーリーは、これがないとこんな状況に陥ってしまうということを説明します。
例えば、
闇雲にプレゼンテーションをすると相手の関心を引けないだけでなく、不快な思いをさせてしまいます。さらに、本来の目的である商品も売れず、ご自身の評価を下げることにつながる可能性があります。だからおすすめなのが、本書です。
この場合、なぜ必要なのかを伝え、解決策として提案できます。それが共感を呼ぶコツです。
人を動かすスライドとは
わかりやすいスライド作成の具体的なコツが多数記載されています。空白でインパクトを創る、数字を強調する方法、フォント選びにグラフのトレンドについてなどです。
魅力的な話し方・立ち振る舞い
腹式呼吸の仕方、動きながら話す理由、手の動かし方、視線の注意点など、これらは、ぶっつけ本番では間違いなくできません。練習する必要があるでしょう。
まとめ
「相手を動かす」ためのプレゼンテーションをするために、振る舞い、話し方、スライド、ストーリー作りまで一貫して説明されています。図解が多く、明快でサクッと読めます。
相手の問題を解決する提案ができるプレゼンターとなる指南書です。