書評『理科系のための実践英語プレゼンテーション』モノづくりに関わる人におすすめの本
国際会議でのプレゼンを想定した本ですが、研究者だけではなく、製造業などビジネスでも役に立つ情報が満載です。
こんな人におすすめ!
- 研究者・技術職・製造業に努めている営業、資材調達、マーケティング担当者
- ビジネスで英語プレゼンテーションをする方
- 具体的なプレゼンテーション例からヒントを得たい方
ビジネスにも応用できるフレーズ
著者はカリフォルニア大学に10年以上在籍した経歴を持ち、「理科系」、「論文」、「英語」、「プレゼンテーション」といった切り口で多数書籍を発行しています。
営業、資材調達、設計、技術開発、製造責任者、広報でビジネス英語プレゼンテーションの機会のある方にも非常に役に立つフレーズが紹介されています。
例えば、
first, then, finally,... (まず、それから、最後に・・・)
物事の順序を表す表現です。日本人はこの手の表現にこだわる傾向があります。例えば、3番目とか4番目の・・・といいたがるのですが、英語プレゼンのときは、はじめと最後以外はすべて、then...でよいと考えてください。重複を避けたい場合は、after that(その後)とかafter this(この後すぐ)を使ってください。ただし、聞き手はあなたが気にするほどいつご一句を追っかけていませんので念のため。これらは、例えば、以下のように使います。
"After that (song), we went home."
(あの[歌の]後、我々は帰宅した。)
"Would you be kind enough to help me after this (customer)?"
(この[お客様の]後、こちらをお願いします。)
review some of the earlier data (過去のデータを振り返る)
もちろん、ここでは聞き手とともに振り返るわけで、単に思い出すという意味ではありません。この場合、文字通り「過去」を意味するpastを使ってはいけません。あなたの研究に先立ってという意味のearlierを使うのが正しい表現です。
technical issues (技術的問題点)
このissueは解決が非常に難しい、あるいはかいける不可能な問題という意味で、表面的には同義語ですが、problem, questionは試験に出てくるような正解がある問題で、ニュアンスが違います。実際、これらの問題を「解く(答える)」という同市もewsolve issues, solve problems, answer questionsというようにことなってきますので、注意してください。
モノづくりに関わる人がプレゼンテーションするにも応用できるレベルのフレーズが多数記載されています。
また、同義語も紹介されており、語彙力向上に一助します。
フレーズの背景の説明がある
具体的なプレゼンテーションの流れに沿って、各セクションで使用されたキーフレーズが紹介されます。著者はカリフォルニア大学に10年以上在籍した経歴を持ち、プレゼンテーションでそのフレーズが選ばれる理由を知ることができます。
主に米国にてどのようなニュアンスがあるのかといった深い説明があります。それが知識の定着につながります。
質疑応答のときの切り抜け方・テクニック
最後に必ずある質疑応答の具体的なやりとりも具体例とキーフレーズが紹介されています。
その中でも、質問に答えられないときの切り抜け方の具体例はそのまま覚えて応用できるようにしたいフレーズです。
プレゼン時間を実質的に延ばすテクニックなど、要所要所に小ネタがあり、読み物としても飽きることなく読み進められます。
こんな人に参考にならないかも
・基本的なプレゼンテーションの単語が知りたい
本書はどちらかというと英語中級者向けです。わかりやすい構成で読みやすいのですが、英語初級者にはしんどいものがあると思います。
一から学ぶ場合は下記の本がお勧めです。
ビジネス英語プレゼンテーションをするなら手元に置いておきたい必読書「英語プレゼンハンドブック」 - わびさびパンダ
・スライド作成を学びたい方
本書にはそのような説明はありません。
まとめ
研究者だけでなく、モノづくりに関わる方で、英語によるプレゼンテーションをする方は一読する価値があります。紹介されている英単語・フレーズの背景にある知識も一緒に吸収できるので、安心して覚えて、応用することができます。
プレゼンテーション前に、よりよい準備ができるようになるでしょう。